とても個人的な意見になります。自分が未経験からWEB業界への転職を望んで転職活動をしていた時に、様々な求人を見ていて沸いた固定残業代への疑問。これに自分なりに答えを出しました。
新卒で就活していて「何だろう?」「これは良いのかな?」と思った方や、転職で初めてこういった制度の企業を見つけた人は、そもそもどんな制度なのかの理解は最低でもしておきましょう。
※「みなし残業代」と「固定残業代」は違うと書いてあるメディアもあるのですが、この記事では一緒とみなします。
※似たような用語に「みなし労働時間制」もありますが、これは別物です。
そもそも固定残業は何のメリットがあるのか
みなし残業・固定残業についてのメリット・デメリットはググれば色々と出てくる情報ではあるんですが、「それは本当にメリットなのか?」を整理してみましょう。
みなし残業の会社側のメリット
会社側のメリットとしてよく挙げられるのは以下です。というか、会社側にデメリットはないです。
- 残業代の計算が楽になる。
- 求人の際に待遇をよく見せることができる。
- 労働者側が無知だったら、時間外手当を払わなくて済む。(←違法)
会社にとって最も悩ましいコストが人件費なわけですが、残業代を固定としてしまえば一律に計算して社員に支給することが可能です。そのため、賃金の計算処理が楽なんですね。
・・・でもこれって会社の都合ですよね?こっちは知ったことではないと思いませんか?
求人票の給料を高く見せることができるのも問題です。2018年月に施行された職業安定法により、固定残業代制度を導入する会社には以下を明示することが義務化されています。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代の計算方法
- 固定残業時間を超えた時間外労働に対する残業代の支給
この3つ目の時間外労働手当を払わなくていいパターンがあって、勿論違法なんですが、労働者側の無知を突いてくる企業ってあるんですよ…気を付けましょう。
この辺しっかりしている企業を選ばなければなりません。勿論、固定残業代制度なんか使ってない企業があればベターですが。
みなし残業の労働者側のメリット
よく挙げられるのは以下ですよね。
- 早く仕事を終えても、設定されてる固定残業代が貰える。
- ↑この理由から、「早く終わらせよう」という意識が生まれる。
私自身ググって色んな記事を見ましたが、こんなもんでした。会社側と比べて少なくないですか?
2つ目に至ってはどちらかというと経営者側のメリットですね。
何故こんなに労働者側にメリットが少ないのか?それは大前提として、みなし残業は会社側にとって都合の良い制度だからです。会社側へのメリットが本質なわけです。真面目に考えてみましょう。
みなし残業は労働者側にメリットなし?
メリットとして挙げた2点。ググるとよく出てくる2点ですが、これ本当にメリットでしょうか?
企業にとってメリットがあるからこそ採用してるわけで、上述した労働者のメリットは本質ではなく副産物のようなものだということに注意してください。更に更に冷静に考えれば、そもそもこれらは大きなメリットではない気がしませんか?
だって、1つ目に関しては最初から基本給高く設定すればいいだけじゃないですか。どうせ高めに給料を払わなければいけないなら。それで残業しないだけの業務量にマネジメント側が抑えればwin-winですよね?なのにそれをしない。
2つ目に関してはもはや説得力がない。具体的ではない。こんなの個人次第なのでメリットに挙げてはいけないレベルです。「そういう可能性もあるよね」レベルの話。妄言と言ってもいい。
このように、実は冷静に考えると「みなし残業・固定残業」は労働者にはメリットないんですよ。
みなし残業は何故ヤバイのか?4つの理由
察しの良い方は上記のメリットで、この制度が企業目線で出来ている制度だということに気付いたのではないでしょうか。そうなんですよね。労働者側には大きなメリットがないんですよね。
それどころか、冷静に考えたらヤバイなと思うはずです。その理由は4つあります。
みなし残業がヤバイ理由1:残業代未払いの可能性
前提として、仮に固定残業時間が設定されていたところで、その時間を更に超えての労働が発生すれば、雇用主側は時間外手当を支払わなければなりません。払わなければ違法です。
しかしながら、この制度を理解していない労働者も一定数いまして、そういった方々は「固定残業時間を超えても残業代を貰えない場合は違法だ」と気付かない可能性も。こうなると会社側の思うつぼです。いわゆるカモになってます。
文字通り死ぬほど頑張りすぎてしまう日本人が多いので、愚直に働いていた場合、超過した残業代を払ってもらえないことに気付かない場合があります。これは大損になります。
みなし残業がヤバイ理由2:給料が安い点
求人票を見るとよーく分かるんですけど、みなし残業代が出る企業って基本給が20万割れるところもザラです。基本給が安いと何が起こるか?それは賞与(ボーナス)に関わるのです。
普通、賞与を貰うときには「〇ヶ月分」となっています。これ、残業代を含む諸々の「手当」は含まないのです。残業時間を考慮せず、基本給を元に計算されるのが賞与です。
ということは、みなし残業が採用されている企業では賞与が思ったより大した額じゃない可能性が高いのです。まぁ、貰えるだけマシっていうブラックに染まった考え方を否定はしませんが…
みなし残業がヤバイ理由その3:帰りづらい空気の形成
固定残業時間が設定されているということは、もし残業なくても会社側は労働者に固定残業時間分の手当てを払わなければなりません。しかしそうなるとコストだけが増える。
そこで、経営者にはこんな発想に至る人もいます。「固定残業時間分は残業させていい」と。
当然良くないのですが、そこは同調圧力大国の日本です。これは私自身の実体験ではなく、別のWEB会社勤めていた女の子から聞いた話ですが、「残業代出てるから定時で帰りにくい」が発生するようです。誠にくだらないですけど。
みなし残業を導入している企業では、このような空気が形成されている可能性も高いのです。充分に気を付けましょう。
みなし残業がヤバイ理由4:経営者の考え方
みなし残業って「残業の発生を前提にしている制度」なわけですよね。どんな綺麗ごとやメリットを並べ立ててもそこは否定できないはずです。否定するなら残業代全額出せばいいだけであって、この制度要らないですもん。
でもみなし残業を採用しているならば、それは「残業を減らすような業務改革を行う気はありません!」と声高に宣言していることと同義ですよ。上の方で記述したメリットなんか関係ないです。
仮に「普段は残業多くないけど、時期によっては残業あるからこの制度」って場合も同様です。本来残業はゼロが当たり前なのです。根っこの本音は「残業減らす努力をする気が経営者にはないから」です。
みなし残業がIT・WEB系の企業でかなり採用されてるのに腹が立ちます。「IT・WEB業界は技術の変化が激しい」とか言ってくる人多いんですけど、変化が激しい業界なのに働き方の意識は昭和のままですか?と言いたい。働き方の変化はする気ゼロですかと。2022年現在、もう令和ですからね。
働き方が昭和じゃんって視点だと、IT・WEB系のくせにリモートワークやフレックス制度がない企業も終わってんなと個人的には思いますが、話が反れますのでここでは割愛。
このように社員の時間の搾取を是とする経営者の元では働きたくないですし、そういうところで働く人は減るべきです。じゃないと日本の労働環境って一生良くならないから。
会社選びでは、みなし残業に気を付けよう
ここまでの解説で、みなし残業(固定残業)がよくないことだとは分かったと思うのです。こういったブラック要素を抱えている企業に入ると仕事が悲惨になる可能性があります。
また、そういった場所で働く人がいなくならない限りは、経営者側の思想も変わらない可能性が高いですよね。
労働者がもっと気を付けて、そんな制度を採用している企業には応募しないことが、こういった悪しき慣習に守られた悪しき制度を撲滅する唯一の方法なのかもしれないですね。
あとは法整備で禁止って言ってくれればいいんですけど、とりあえず自分の身は自分で守りましょう。
まとめ
ということで、みなし残業(固定残業)がいかに悪いかを書いてみました。今後、働き方改革が叫ばれる中で、企業側も労働者側も、残業に対しての意識を違う方向にもっていく必要が増えるでしょう。
願わくば残業ゼロの日本になることを祈るばかりです。
以上、読んでいただきありがとうございました。
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