ウクライナとルーマニアという大きな国に挟まれた小さな国、モルドバ共和国。旧ソ連圏の特色を色濃く残した建物が見られ、その雰囲気を楽しめる数少ない場所です。
意外と知られていないですがワインの名産地でもあり、かなり安い物価に加えて優しい人々が多い。そんなモルドバの首都キシナウの観光スポットを、実際に訪れた筆者が紹介します。
また、簡単にですがバスの乗り方も紹介しますので、不安な方は一読いただければと思います。
- モルドバ共和国とは
- キシナウのおすすめ観光スポット
- 凱旋門(Arcul de Triumf)
- ナスレテア大聖堂(Catedrala Mitropolitană Ortodoxă)
- 政府機関(Government House)
- ステファン チェル マーレの像(Stephen the Great Monument)
- 連邦政府庁舎(Presidency of the Republic of Moldova)
- モルドバ正教会(Transfiguration Church, Chișinău)
- モルドバ国立歴史博物館(National Museum of History of Moldova)
- モルドバ国立美術館(National Art Museum of Moldova)
- オルガン・ホール(Organ Hall)
- 永遠の記念碑(Memorial Complex “Eternity”)
- 聖ティロン大聖堂(Ciuflea Monastery)
- モール・ドバ(Malldova)
- クリコバ・ワイナリー(Cricova)
- まとめ
モルドバ共和国とは
基本データ
面積 | 33843k㎡ |
人口 | 約360万人 |
首都 | キシナウ |
言語 | モルドバ語、ルーマニア語、ロシア語 |
通貨 | MDL(モルドバ・レウ) |
歴史的にはソ連やルーマニア、トルコの間で占領や併合が繰り返されてきた地域です。東欧は近代までロシア下にあった国も多く、モルドバも例に漏れずロシア語が通じます。いわゆる発展途上国なので、物価の安さは際立っています。1MDL=約6円(2020年現在)です。
また、国内に事実上独立状態にある「沿ドニエストル共和国」が存在しています。
余談ですが、日本で昔(2004年頃)大流行した「恋のマイアヒ」という曲。「O-zone」というグループの曲ですが、実は彼らはモルドバの歌手です。
モルドバ・キシナウの治安
筆者は首都キシナウしか訪れていませんが、意外にも治安に不安は感じませんでした。少し怖いのは野良犬がその辺をうろついていることですが、吠えたり近づいてくるようなことは全くなし。これでもかなり減ったと聞きました。物乞いなどが多いわけでもなく、スリ等の犯罪行為も見かけていません。後に紹介するショッピングモールに至ってはむしろ近代的で、途上国感を感じません。
ただし道路の舗装がされていなかったりと歩きづらい場所があることに加え、夜は暗くなりますから、当たり前ですが一人で夜にうろつかないのがベターでしょう。また東洋人は非常に珍しいので視線を感じることはあります。女性は尚更不快に思うこと、気を付けることが増えるでしょう。
モルドバの気候・服装
筆者が訪れたのは8月下旬。やはりヨーロッパですので日本のような蒸し暑さはなく、比べれば相当楽に感じると思います。年間平均気温は日本に比べて5~6度低いので、夏は快適に過ごせます。とはいえ早朝や夜に肌寒くなるので、羽織るものがあっていいかもしれません。
冬に関してはデータ上では氷点下になることが少なくありませんので十分に準備していくとよいと思います。最も、旅先として選ぶのは5~9月が良いかと…。
また未舗装道路が多いゆえに風が強いと砂埃が舞いますので、要注意です。舗装がしっかりされているメインストリートであれば、この心配はありません。
モルドバで英語は通じるか
結論から申し上げますと、あまり通じません。先に基本データで述べたように、会話には公用語であるモルドバ語、ルーマニア語又はロシア語が必要です。ただし、クリコバのワイナリーのような国外から観光客が来るような場所では英語が通じることが多いですし、ガイドツアーも英語だったりします。
バスの乗り方について
キシナウ市内の移動の場合、公共交通機関は基本的にバスです。3種類あり、普通のバス、ヨーロッパでよく見るトローリーバス、そしてミニバスです。現金を必ず用意しましょう。
バスは早朝~深夜12:00まで走っていますが、時刻表通りにはきません。待っても30分、早ければ5分も待てば来ます。
バスおよびトローリーバスでは乗車時にチケット売りの方からチケットを購入します。運転手からではありません。バス内にチケット売りの方(大抵おばちゃん)がいますし、バス内を歩いて売ってくれます。降りるまでチケットは絶対に保管してください。事前購入はできませんので、バスに乗る度に購入する形になります。料金は2MDL(約12円)です。
一方ミニバスは乗りたい時に手を振れば停まります。決まったバス停がないのです。そのため、降りる時も運転手に言わなければなりません。チケットは発行されませんが、乗車時に運転手に支払います。料金は3MDL(約18円)と、こちらも破格の安さです。
簡単なルート検索方法
どれも非常に安く移動できますので上手く有効活用したいところですが、モルドバはGoogle Mapでルートが登録されていない国の一つです。よって、別の検索手段が要ります。
オススメはこのサイト。左上のCHISINAU(キシナウ)をクリックして他の地域Tiraspol(ディアスポル)やBender(ベンデル)に変更できます。地図上をクリックしたら下図のように出ますので、出発地に「Set point A」、目的地に「Set point B」を入力しましょう。
クリックして設定できたら自動的にルート検索が始まります。検索結果は画面右に出て、最適な手段が一番上に出ます。下にスクロールしていくと他の手段も見ることができます。
出発地点(A)と目的地(B)の丸をクリックすると、そのバス停に来る3種類のバスの番号のリストが出てきますし、ある程度の待ち時間まで表示されます。非常に便利です。
長距離バス等についてはまた別の記事でまとめようと思います。
キシナウのおすすめ観光スポット
凱旋門(Arcul de Triumf)
写真は裏側からですが、モルドバ版の凱旋門です。「Triumf」はルーマニア語で「勝利」を意味します。位置的に街の中心にあるので、ここを基準にすると位置関係が分かりやすいので最初に紹介させていただきました。
サイズはパリやルーマニアにあるものより小さいですが、シンプルで美しい彫刻と中の国旗が目を惹きます。夜にはライトアップもされます。
ナスレテア大聖堂(Catedrala Mitropolitană Ortodoxă)
上で紹介した凱旋門の真後ろにあるのがキシナウ正教会のナステレア大聖堂(キシナウ教会)です。大聖堂と同時に鐘楼(画像右)も建てられています。これらは第二次世界大戦中に破壊されましたが、再建されて現在の形になっています。聖堂内部には入れますが、ミサの時には地元住民が多く訪れるので、邪魔にならないようにしましょう。
またこの大聖堂および凱旋門の一角は公園になっており、ゆったりするには良い場所です。
政府機関(Government House)
ザ・ソ連、ザ・共産圏といった風貌の建物。こちらモルドバ政府機関の建物で、大通りを歩いていると必ず目に入る、とても印象的な建物です。中には原則入ることができませんが、連邦政府庁舎同様に外観を楽しみましょう。
ステファン チェル マーレの像(Stephen the Great Monument)
シュテファン3世は現在のルーマニア・モルドバ・ウクライナの地域に存在したモルダヴィア公国の大公です。当時力の強かったオスマン帝国と戦い国を守った英雄です。この時ハンガリー王国のフニャディ。ヤーノシュおよびドラキュラ公で名高いヴラド・ツェペシュ公と同盟を組んでいます。
この像のある一角はステファン・チェル・マーレ公園となっており、地域の人々の憩いの場です。
連邦政府庁舎(Presidency of the Republic of Moldova)
首都キシナウにある大統領府ですが、その見た目が非常に特徴的です。4つの塔が合体したような見た目は美しくも面白くもあります。敷地内に一般人は入れませんが、一見の価値ありです。
モルドバ正教会(Transfiguration Church, Chișinău)
直訳すれば変容教会…となりますが、モルドバ正教会とさせていただきました。1898年~1902年に建てられたもので、かつて冷戦下でガガーリンが宇宙へ行くことに成功した時、ドームをプラネタリウムとして使ったこともあったそうです。
数度の改修工事の末、今の形になっていますが、ロシア正教の特徴が色濃いですね。
モルドバ国立歴史博物館(National Museum of History of Moldova)
首都キシナウにある国立博物館です。1983年に設立、常時26万点に及ぶ展示品がここにあります。イベントも定期的に行われており、古代~現代までの展示や貴金属品など、国立博物館に相応しいものが堪能できます。中には無料Wi-Fiがあります。
料金は細かく区分が分かれていますが、モルドバは物価やが非常に安いので気にするほどの料金ではありません。また、毎月の最終土曜日と日曜日は無料です。ただしイベント展示は別料金が必要ですので、行く前に公式HPをチェックした方がよいでしょう。
モルドバ国立美術館(National Art Museum of Moldova)
国立博物館からほどない距離にあるのが国立美術館です。国内外の美術品を展示しており、こちらも一般展示と期間限定の特別展示があります。日本の版画についてのイベントを行ったこともあります。また、先に紹介したモルドバ正教会の近くに分館があります。
ガイド付きのツアーもありますが、別料金となります。あと英語又はフランス語のガイドツアーは少し料金が上がります。国立博物館同様に細かい料金区分がありますので、詳しくは公式HPを。
オルガン・ホール(Organ Hall)
こじんまりとしていながら白と青の美しくシンプルな建物はオルガンホール。ここでは国内外の奏者によるコンサートが定期的に開かれており、特に内部のインテリアの美しさは一見の価値ありです。
チケットの予約はモルドバの劇場やコンサートホールのイベントが予約できるサイトから可能です。
永遠の記念碑(Memorial Complex “Eternity”)
中心街から少し離れた場所に位置するこの記念碑は、第二次世界大戦時に亡くなったソビエト兵士に捧げられたものです。赤い5つのライフルで形作られています。さらに中心部の炎は消えることなく燃えています。
中心街から徒歩で行くと30分以上はかかってしまいますので、公共バスまたはトローリーバスを使うのがベターです。「Pan Halippa Square」というバス停が最寄になります。ここに停まるのは3, 10, 20, 24, 35, 36番のトローリーバスですが、仮に凱旋門からなら「Stefan chel Mare shy Sfynt Park」から10番に乗るのが行きやすいです。
聖ティロン大聖堂(Ciuflea Monastery)
良い角度で写真が撮れませんでしたが…その真っ青で美しい姿は目を惹きます。聖ティロン大聖堂はモルドバ正教会の修道院で、2人の兄弟によって19世紀に建てられたという歴史があります。兄弟は右側の教会入口に埋葬されています。内装も美しいので、少し遠いですが訪れる価値はあると思います。
トローリーバスでは凱旋門付近のMihai Eminescu Natiobnal Theatreから2番に乗り、Ciuflea Stで降りればすぐです。徒歩ですと凱旋門から南東方面へ約30分かかります。
モール・ドバ(Malldova)
モルドバにあるショッピングモール、モール・ドバ。このネーミングは誰が考えたのでしょうか。ナイスな名前のこの施設内には映画館や多数のレストランとショップがあり、スーパーマーケットも完備。まさに近代的なショッピングモールです。ここだけ訪れると途上国感がありません。長めに滞在する方は食材を買って調理も考えていいかもしれません。
凱旋門前からのアクセスならば、聖ティロン大聖堂同様に2番のトローリーバスで行くと良いでしょう。
クリコバ・ワイナリー(Cricova)
キシナウ市内ではありませんが、紹介したいのでします。モルドバは実はワインの名産地として名高く、特に大人気なのがクリコバのワイン。創業は1952年で、特にスパークリングワインは国内売り上げNO.1です。特筆すべきはその巨大さ。全長120kmの貯蔵施設を持っており、深さは80mにまで及びます。
もっと詳しいアクセス方法やツアー体験についてはこの記事で紹介しています↓↓
まとめ
いかがでしたでしょうか。キシナウには観光スポットがないと思われがちかもですが、意外にもある上に集中してるのでサクっと見ることができます。何よりも楽しむべきはその雰囲気です。今では貴重な旧共産圏の建物や歴史、そして破格の安さを誇る物価を楽しみましょう!
読んでいただきありがとうございました。
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