スコットランドの首都エディンバラには、ウイスキー初心者からちょっと通まで楽しめるような素晴らしいアトラクションがあります。その名は「スコッチウイスキー・エクスペリエンス」。
お酒が飲めない人であれば少し退屈かもしれませんが、この国のウイスキーに対する姿勢を知ることができますし、人気観光スポットを回るなら外せませんね。
そんなスコッチウイスキー・エクスペリエンスを訪れてきたので、内部やツアー内容をご紹介します。…その前に、少しウイスキーの前提知識を自分向けに超簡単なおさらいです。お酒って深く解説するとキリがないくらい奥深いですよね…
スコッチウイスキーについて
スコッチウイスキーとはそもそも何か。という点ですが、スコットランド産であることがまず大前提にあります。ただ、スコッチウイスキーの定義はそれだけに留まりません。
ウイスキーの輸出を主要産業の一つとするイギリスでは、スコッチウイスキーは法律によってしっかりと定義されています。これはジャパニーズウイスキーの定義がガバガバなのと比べれば遥かに厳しいもの。スコッチウイスキー規則をクリアしたものだけがスコッチウイスキーを名乗れるのです。
そんなスコッチウイスキーにはまず、2つの種類があります。
モルトウイスキー
モルトウイスキーは原料が大麦麦芽であり、単式蒸留器で2回蒸留して作るもの。個性が強いために「ラウドスピリッツ」とも言われます。この個性が強すぎると苦手な人もいるのですが、後述のグレーンウイスキーと混ぜることでクセを抑えた飲みやすいブレンデッドウイスキーにします。
例えばスーパー等で見かけるシーバスリーガルやバランタインといったスコッチウイスキーはブレンデッドウイスキーです。
モルトウイスキーは更にシングルモルトやシングルカスク、ブレンデッドモルトと細かく分類されていきますが、この記事ではこれ以上は控えます。
グレーンウイスキー
グレーンウイスキーは原材料に大麦麦芽とトウモロコシを使用しています。シングルモルトと比べると個性が弱いので「サイレントスピリッツ」と呼ばれています。あまり単体で飲まれることはないですが、ウイスキー独特の香りが苦手な人でも飲みやすいという意味でポテンシャルがあります。
上述のようにモルトウイスキーと混ぜることでブレンデッドウイスキーとされ、市場にも多く出回っています。
スコッチウイスキー・エクスペリエンスへの行き方
さて、そんなスコッチウイスキーを楽しむためにスコッチウイスキー・エクスペリエンスに行くわけですが、場所はこちらになります。エディンバラ城のすぐ近くです。
エディンバラに観光に来る殆どの方はロイヤルマイルという旧市街のメイン通りを歩くはずです。この通りを西に進んでいけば苦労せずに着きます。外観は下の画像のような感じで目立つわけではないのですが、人が多く入っていくのですぐ分かると思います。
ツアーの種類と料金
ここを楽しむにはツアーに参加する必要があります。それぞれのツアーによって料金、所要時間、試飲できる数などが異なるので、自身が参加したいグレードを選ぶといいでしょう。
私が行った時は予約無し当日券で入れましたが、混雑することも多いようなので事前に公式HPで予約・購入してしまうのが最善だと思います。ただ予約する場合は時間厳守で着くようにしましょう。
当日買うか、オンラインで買うか、どちらでもクレジットカードは使えます。
詳しくは公式HPに載っていますが、ツアーの違いは簡単に説明すると以下のようになっています。
コース | 料金 | 時間 | 備考 |
The Silver Tour | £17.00 | 50分 | 日本語ガイドあり 5大産地から一つを選んで テイスティング |
The Gold Tour | £29.50 | 70~90分 | 日本語ガイドあり シルバーコースの1種類に加えて 4種のシングルモルト無料 スコッチウイスキー協会の会員資格1年分付きなど |
The Platinum Tour | £40.00 | 90分 | 英語ガイドのみ 1日の最後にあるツアー 4つのシングルモルトに加え、1つのブレンデッドの ガイド付きテイスティングとノージング Silver,Goldでは見れないコレクション見学 |
Tasting Tales | £39.00 | 60分 | 英語ガイドのみ 専門家の解説付きの4つのスコッチウイスキーの テイスティングに加え、 スモークサーモンやチーズといったツマミ類の提供 スコッチウイスキーの物語の解説など |
Morning Mastereglass | £40.00 | 90分 | 英語ガイドのみ 世界最大のコレクションの特別見学 ブレンデッド・シングルモルトを含む4種類の テイスティング比較など |
The Taste of Scotland | £79.00 | 約3時間 | 英語ガイドのみ Platinumの後に開催されるコース料理ツアー Platinumの内容に加えて 料理とデザートに合うウイスキーを提供 |
こうして見ると、入場料は少し高めな印象を受けますね。
どのツアーも共通してコレクションの見学と、テイスティンググラスのプレゼントがあります。ただしコレクション見学の多さはコースによって異なります。
ツアー内容(ゴールド)
ここからはツアーの内容を紹介します。私はゴールドコースを体験してみました。一年間のスコッチウイスキー協会の会員資格がついてきます。
製造工程とスコッチウイスキーの産地について
ツアーでは下の画像のような順番で回っていきます。 シルバーとゴールドには音声ガイドは20ヵ国以上分が用意されているので英語が苦手な方でも安心ですね。聞き逃したくないので私も日本語ガイドにしました。
まずは樽型の乗り物に乗って製造工程を学びます。原材料からどのようにして店頭に並ぶまでに至るのか、ピートとは何なのか、分かりやすく解説してくれて、基本的な知識が身に付きます。
そのあとはガイドによる英語の説明(凄い早口)。これも音声ガイドが追ってくれるので安心してください。
スコッチウイスキーの産地は大きく5つに分けられ、ハイランド・スペイサイド・アイラ・ローランド・キャンベルタウンとされます。これらの地域によって気候条件や樽の違いがあり、味わいも香りも色も異なるウイスキーを製造しています。
この時貰える紙は、こすると香りが嗅げるようになっています。写真を撮り忘れたので、かろうじて写ってるものから切り取ってます…(笑)
熟成工程を学び、ワインやブランデーでも同じですが、樽で熟成する酒ならば必ず起こる「天使の取り分(分け前)」についての説明もここで受けます。熟成中にアルコールや水分が蒸発して最終的な製造量が目減りしてしまう、避けられない現象です。
コレクションを眺めながら試飲
参加者がそれぞれ席に座ったら、目の前のグラスの周りに6種類のライトが当てられます。ライトが先ほどの紙のように色分けされているので、産地別の5種類とブレンデッドの1種の中から選んでグラスをライトの上に置くことでウイスキーが注がれます。
グラスを片手に参加者は次の部屋へと促されます。そこはもはやウイスキー好きは垂涎ものの圧巻のコレクションです…!
一体何本あるのか分からないコレクション。これ全部スコットランドのウイスキーなのです。日本では手に入らないであろうものもあるでしょうし、マニアなら虜になってしまう部屋ですね。
ライトアップされて輝くウイスキーに囲まれて試飲する空間は幸せでした。テーブルの上には先ほど選んだ試飲ウイスキーの銘柄が並べられ、ガイドさんに訊けばどんなウイスキーなのか、おすすめの飲み方は何か、といった質問に丁寧に答えてくれます。
あ、因みに試飲グラスはどのツアーを選んでも無料で持って帰れます。
終了後のバーでも試飲
コレクションの見学を持ってツアー自体は終了なのですが、最後に待っているのは素敵なバーです。有料ですが、お好みでウイスキーを飲むことができます。
しかし私の場合はゴールドコースなので、4種類のシングルモルトウイスキーの無料試飲が楽しめました。
飲んだ銘柄はローランドの「Glenkinchie(グレンキンチー) 12年」、ハイランドの「An Cnoc(アンノック) 12年」、スペイサイドの「Benromach(ベンロマック) 10年」、そしてアイラの「Port Charlotte(ポートシャーロット) 10年」。
アイラモルトはピートを使うのでスモーキーな香りが強いのが特徴で、好みが分かれると言われがちです。が、私は大好きです。飲みやすいのはハイランドかもしれませんね。もちろん銘柄によって個性が異なりますが。
バーでの試飲を堪能したら、音声ガイドを返却して出口です。
圧巻のショップコーナー
バーから出ていくと1階から2階にまで跨るショップコーナーです。ここで帰るウイスキーの種類はものすごく多くて、なんと477種類以上。どれだけマニアならこの全てを把握できるんでしょうか…?自称ウイスキー通でもなかなか全部は知らないと思います。
このショップはツアー関係なく無料で入れますので、お土産を買いたいだけで入っても楽しいと思います。
買う人がいるのか、ほぼ展示用みたいなものなのか分かりませんが、このショップにも超高級酒が沢山あります。探した限りで一番高かったのは上の写真にあるグレンフィディック50年です。これは幻のウイスキーでして、普通の人が手に入れるのは無理です。庶民である私には一生縁がないお酒です(´-ω-`)
この店頭では£25,5000.00で売られてました。2020年現在のレートですと、日本円で約330万円を超えますね。私の年収かな?(笑)
さいごに
そんな感じで、スコッチウイスキー・エクスペリエンスの体験は終了しました。2回も3回も行くような場所ではないのですが、ウイスキー好きならコレクション見るだけでも間違いなく楽しいですし、そうでなくてもお土産として選べるものが多いのは良い事です。
行くのであれば、混まない朝の時間帯に行くことをおすすめします。
エディンバラにはこの他にもまだまだ沢山の魅力がありますので、当ブログの記事も参考にして観光してみてくださいね↓↓
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