コペンハーゲンから北に30kmほどの距離にあるクロンボー城は、シェイクスピアの傑作「ハムレット」に出てくるエルシノア城としても有名で、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
コペンハーゲンからのアクセスも難しくなく、筆者も楽しんできました。この記事では内部の様子などについて紹介しています。
クロンボー城 基本情報
コペンハーゲンの北、バルト海に面した位置にあるクロンボー城。前身にあたる砦が築かれたのは1420年代にまで遡ります。改築、増築されたと思えば、燃えたり攻められて落城したりと紆余曲折があり、結局は今日まで残っています。
「borg(ボー)」はデンマーク語で「城」を意味するので、「クロンボー城」と言うとちょっと間違いらしいですが、気にすることはありません。「クロンボーキャッスル」で全然通じますし。
シェイクスピアのハムレットの舞台で、毎年演劇の公演も行われています。シェイクスピアのファンにとっても聖地かもしれませんね。でもシェイクスピアはここに来たことはありません。
クロンボー城への行き方
コペンハーゲンからは電車と徒歩で向かうことになります。所要時間は1時間を超える程度。まずはコペンハーゲン中央駅に向かい、乗車券を購入しましょう。
最寄りの駅は「Helsingør(ヘルシンオア)」駅です。中央駅からは29番線に乗って1時間程度、乗り換え無しで行くことになります。駅に着いてからは徒歩で15分ほどかかります。
駅に着いてからは、海沿いに北へ歩いて行きましょう。道なりに歩いていれば、クロンボー城が視界に入ってきます。
こちらのストリートビューで言えば奥の方へ歩いて行きます。城が見えれば道に迷うことはありませんので、そのまま城に向かって歩いて行きましょう。
途中、造船所のドッグを再利用して建てられたM/S海洋博物館があり、その前に人魚少年?の像があります。良く見るとヒレがないので人魚ですらない、ただの少年です。…少年なのか?
こちらの博物館はモダンな建物で、海洋国家としてのデンマークの歴史を知ることができます。時間があれば寄るといいでしょう。コペンハーゲンカードで入ることができます。
交通機関の乗り方についてはこちら↓↓
クロンボー城 入場料
クロンボー城の入場料は2020年現在、以下のようになっています。季節によって値段が変動し、夏の繁忙期は高くなります。(1DKK=約17円)
1~5月 | 6~8月 | 9~12月 | |
大人 | 95DKK | 145DKK | 95DKK |
子供(17歳以下) | 無料 | 無料 | 無料 |
学生(ID必要) | 85DKK | 135DKK | 85DKK |
団体(最低10名) | 85DKK(1人) | 135DKK(1人) | 85DKK(1人) |
シーズン券 | 395DKK | 395DKK | 395DKK |
学生は証明できるIDが必要なので、国際学生証があるといいでしょう。チケットは公式HPからオンラインで購入できるほか、もちろん現地でも購入可能です。
また、先述したM/S海洋博物館のチケットを見せると25%の割引を受けられます。
全ての公共交通機関が無料で乗り放題になるコペンハーゲンカードでは、80を超える施設の入場も無料になります。ここクロンボー城でも使えますので、往復の移動を考えても買っておいた方がお得です。こちらの記事で紹介しています↓↓
クロンボー城の内部
ここからは筆者が訪れた際の様子をご紹介します。残念ながら天気がちょっと曇り空…写真のように、入口の前にはクロンボー城の現在の姿の模型がありました。
五稜郭っぽい形の真ん中にお城が建っているような見た目をしているのですね。上からでないと分かりません。
2つの門
クロンボー城は周りを大きめの濠に囲まれており、城門は「The Dark Gate」と呼ばれています。実際、この門は中が暗いので名前通りです。城の周りの土塁をくぐる形になりますので、電気がない時代なら本当に真っ暗だったのでしょう。
門をくぐってしばらくすると、また門が出てきます。こちらの門をくぐって中庭に突入です。
門の両隣りにはローマ神話の神の彫像。左は海の神であるネプチューン。ギリシャ神話ではポセイドンと同一視されます。右側は交易の神であるマーキュリー。ギリシャ神話でのヘルメスです。
城内に入る前から、2つの門でワクワクさせてくれる城ですね。神々に見守られながら入りましょう。
ハムレットの演劇にも使われる中庭
ネプチューンとマーキュリーに挟まれた門をくぐると、正方形の中庭に出ます。ここでは毎年夏にはハムレットの演劇が野外で行われます。私が行ったのは5月中旬でしたが、ここではコスプレしたキャストが芝居をしているのを見ることができました。もしかしたら、この芝居は時期に関係なくやっているのかもしれません。
このように、唐突に表れたかと思いきや、役になりきっています。ハムレットのシーンを再現しているようです。これは城内でも同じで、クロンボー城を見学していればきっと目撃するでしょう。
この後城内へ行くわけですが、35×15×30cm以上の荷物はクロークに預けなければいけませんので注意です。
クロンボー城の礼拝堂
城に入ってまず目立つのは礼拝堂です。こちらの礼拝堂は1582年に設置されたそう。カラフルな装飾が目立つのですが、この写真からだと分かりづらいですね…フレデリクスボー城内の礼拝堂と比べると、少し見劣りするかもしれません。
しかし、この礼拝堂は1629年に城の大半を焼失させた大火の中でも生き残った由緒ある場所です。頑丈なアーチに守られてたからだとか。ある意味でクロンボー城の象徴とも言えます。
城内で再び小芝居を目撃
とある部屋に入ると、キャストが人形を用いての一人芝居をしていました。椅子が用意されていて、じっくりと観ることができます。なお、英語で行われていましたので、デンマーク語が分からなくても大丈夫です。
芝居の内容はやはりハムレットのシーンなのだと思います。ぶっちゃけ内容を知らないのでピンときませんが…
ボールルームへようこそ
先ほど紹介した礼拝堂の真上にあたる部屋がボールルームになっています。このボールルームは北欧で最も大きいもので、62×12mの大きさになります。
壁には大きな絵画がいくつか並んでいますが、これは元々はコペンハーゲン中心部にあるローゼンボー城のために描かれたものだそうです。
城内を散策しよう
クロンボー城は結構広く、ベッドや棚、テーブルなどの展示は他の城と同様に沢山あります。数ある展示の中でも、タペストリーはなかなか見事です。
これらのタペストリーは元々は40あったうちの数点で、オランダの王達を描いたものだそう。7つはデンマーク国立博物館に展示されていて、この部屋にあるのも7つ。残りのタペストリーは残念ながら失われたそうです。
美しい廊下を歩いて絵画に浸るのもよし。ハムレットの芝居を探すのもよし。クロンボー城にはもちろんお土産屋さんもありますので、土産を眺めるのもよし。色んな楽しみ方ができるお城です。
クロンボー城の展望台、キャノンタワー
中庭に戻ると、どうやら塔に登ることができることに気付きました。145段の階段を登る必要がありますが…
登る価値はあります。来るときに到着した駅やヘルシンゲル(ヘルシンオア)の街並み、港を眺めることができます。クロンボー城の土塁の形や城壁、城内の塔や中庭も見ることができ、城の全容を知るのに役立ちますね。
キャノンタワーというくらいなので、元は大砲台なのでしょう。
ホルガーダンスクの像
さて、上に登った後は下に潜る…ということで、クロンボー城の地下にも寄ってみました。ここではまず、デンマークの伝説上の英雄である「ホルガー・ダンスク」の像が出迎えてくれます。
国の有事の際には、洞窟や地下で眠れる巨人・英雄が目を覚ます…といった伝説がヨーロッパ各地にあるそうですが、このホルガーさんもデンマークの危機にはきっと目覚めてくれることでしょう。
像を後にして、そのまま地下へ突き進みます。
真っ暗な地下牢…ではない
地下では肌寒いくらいの気温になっており、灯りもどんどん少なくなります。写真中央の柱に矢印が書いてあるのが分かるでしょうか?この矢印が地下の至る所にあるので、これを頼りに進むのですが…
見てくださいこの暗さ。他に観光客が居ないとマジで怖いです。でもワクワクします。ライトがないと周りが全然見えないくらいの暗さになる場所もあります。クロンボー城の地下に入る際は、スマホやカメラのフラッシュなど、辺りを照らせる手段があった方がいいです。
というのも、この地下は非常に広いのです。矢印に従わず、ライトも持っていないと迷子になってしまうかもしれません。くらーい地下で迷子に…
時々フラッシュ焚いて写真を撮影すると、とても広く、ここは生活できる場所であることが分かります。
その暗さから地下牢と誤解している人もいるようですが、ここは戦時中に兵士の宿舎として利用された場所であって、牢屋ではありません。1000人もの兵士を6週間分の食料と一緒に収納できるほどのスペースを誇る、軍事的施設なのです。
パンフレットでは「casemates」という単語で紹介されています。weblio等で翻訳するといくつか意味が出てきますが、「耐爆掩蔽設備」とか「砲郭」などと訳されています。このことからも、地下牢ではないことが分かりますね。実際に大砲もありました。
広い地下の散策は時間がかかりますが、ローゼンボー城やフレデリクスボー城にはない要素なので、是非とも楽しんでみてください。
濠の中に人が沈んで…
城の外、土塁や濠の周りを散策するのも楽しいです。かつて使われていた大砲を見ることができたり、スウェーデンとデンマークを行き来する船も見つけるでしょう。
現在でも王室の慶事でデンマーク軍が礼砲射撃を行うために使用する、1760年代の12ポンド砲も保管されています。土塁は草木もあって、天気が良ければ小休止するのにも気持ちいいと思います。
ところで、歩きながら城の濠を眺めていると、何かが水中にあることに気が付きます。
…人の手です。決して本物ではありませんが。
後で調べて分かったことですが、実はこれ、ストリートアートのプロジェクトの一環だそうです。クロンボー城に限らず、ヘルシンオアの街のあちこちにあるとか。
難民危機やホームレス、リサイクルなど、社会的課題に対しての意識を高めることを目的としていると公式HPには書かれていました。もしかしたら、クロンボー城に他にも「手」があるかもしれません。
さいごに
クロンボー城についてご紹介しました。キャストの演劇や豊富な展示に加え、レストランまであるので、世界遺産マニアや城マニアの方だけでなく、私のように城とハムレットの事前知識がない観光客でも楽しめるようになっています。足を延ばして是非とも訪れておきたい観光スポットです。
読んでいただきありがとうございました。
同じく郊外にあるフレデリクスボー城も湖畔に建つ美しい城です。せっかくなので両方寄ってみてはいかがでしょうか↓↓
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